BALANCE AUTO @ CROSS FIVE (バランスオート@クロスファイブ)

いつ訪問しても目を奪う魅力的なクルマが多数生息するバランスオートさん。ブログをのぞけば、無数の美車の宝庫です。

本日のお出迎えはイエローのマスタング!

はー、かっこええー。

 

 

 

見とれてしまいます。

バランスさんの特徴は、部品をたくさん装着してごちゃごちゃさせず、シンプルに車高とホイルの”バランス”をうまくとり、そのクルマの一番カッコイイ部分を引き出す、まさに和食マスターのようなセンスです。

 

創業時からのお付き合い。元々アメリカンカスタムのお店で、今も基本コンセプトはそのままに、日本車、外車、車種問わず、独特のスタイリングを創り出しておられます。

https://ameblo.jp/balance-ap/

 

 

作業場に入っている車も、どれもただならぬオーラを放っていますが、このFT86、その中でも際立っています。

 

 

 

 

FT86はバランスでは人気車種で持ち込む人がかなり多く、色んなFTを目撃しましたが、目の前のコイツは異常。

 

 

 

 

どこがというと、スポーツカーにとってもっとも大事な、お尻。

流行のループマフラーとはまた異なるマフラーが入っています。一応ワタシもプロなので違和感があり、じっと、眺めていると、ザキさんに声をかけられました。

 

 

「D-1などのレース車両を参考に、ジャッキアップポイントも作りこんだんです。ピットに入ったら、リアタイヤすぐ交換できるようにというものですが、それをマフラーと一体化させて作ったんですよ。実際にジャッキアップ出来ます」

 

 

上の細めのパイプはそっち用だったのか…

脱帽です。シルクロードでもこの後付ジャッキアップポイント、商品化したいくらいのアイデアです。

 

 

 

「いいッしょ~!」

意外だったなあ~。山崎さんがマフラーデザインもお手の物とは。足廻りのプロとはわかってたけど、もっているヒキダシが多い!!

 

 

バランスの元親分、水島さんは生前、ワタシにこういっていました。

「ザキさんと出会えたのは奇跡だし、運命だと思っています。」

 

 

 

日本を代表する大手有名メーカーで、開発はもちろんのこと、ドイツから日本にコイルスプリング製造機をラインごと導入して、量産までするような大きなプロジェクトをたくさんこなしてきた山崎さん。誰もが名前をいえばすぐわかる大手メーカーで20年以上活躍しながらも、冒険心を抑えられず、安定した職場を抜け、バランスオートに飛び込んでこられたのです。

 

山崎さんが入社してからは、水を得た魚のように、バランスオートの快進撃が始まり、大阪のイチショップから、あっという間に全国区のブランドとなりました。

 

 

 

けれど、ご存知の通り、今年、代表の水島さんがこの世を去ってしまいました。

過去ブログ

 

 

 

はや3ヶ月。水島さんの遺言もあり、ご家族からの希望も受けながらも、悩みぬいた挙句、先日、山崎さんがバランスを受け継ぐことを決意されました。

「ボスがやってきたことを尊敬はしているし、好きだったですからね、でも改めて引き継ぐとなると悩みました。重責ですから。

今回の新作ホイルもそうです。ボスがブロケイドさんのディレクターという仕事も受けていて、一部のデザインやデザイン案も担当していたんです。そちらの仕事も引き継ぎました」

 

http://www.brocade-jp.com/

メイドインジャパンのホイルブランド、ブロケイドさん。静岡に工場を持つ会社です。お付き合いがることはしっていましたが、そんな関係だったのは初耳。

 

本当に奇跡の出会いだったんでしょうね。水島さんが居なくなってからも、バランスで見るクルマのコンセプトは変わっていません。そして山崎さんが無理をして、水島さんの色にあわせようとしている様子もありません。感性、感覚が兄弟のように見事に同じだったんだと思わされました。

 

 

一つだけ違うのは、山崎さんは足廻りに関してはおそらく日本でも屈指の職人。誰もが知る大手メーカーの元開発担当者。

生前に水島さんに教えてもらいました。山崎さんはそういうことを自分から話さないし、肩書きよりも、現場力を大切にするヒトです。ほとんどのヒトが知らないお話です。(ワタシだったらベラベラ自慢しているでしょう)

 

毎日、新しい車が発売されるたびに車高調を設計し、軽自動車から外車まで相当数のクルマの脚をはずして、作ったものを装着テストするということに20年以上携わってきた猛者。もちろん、車高調やアームなどの足廻りだけでなく、補強パーツ、マフラー、ホイルといった商品にも精通されています。今回のホイルのデザインや設計についても、突然関わることになってもすんなり対応できるのは、そういった過去があるからこそ。

本日、いよいよクロスファイブ@名古屋ポートメッセにてデビューの新作のブロケイドホイル、これもまた、水島さんが暖めてきたものを山崎さんが引き継ぎ、設計においてブロケイドさんと関わり、発表に至りました。それを可能にしたのもそういった山崎さんの過去があるからこそ。

 

 

この新作ホイルも、そしてこのイベントでの発表も、水島さんが心待ちにしていたものです。

https://x-5.jp/

「ザキさん、イイじゃないっすか!」とちょっとはずかしそうに、そしてとてもうれしそうにしている水島さんの顔が想像出来ます。

 

12月ももう後半戦。2017年も終わりです。

創業時からバランスオートに出入りさせて頂いているイチ業者のワタシから見ても、現在のバランスオートは水島色でもなく、山崎色でもありません。それは水島さんがある時期からちゃんと会社のコンセプトを決めていたからだと思うのです。

 

 

この業界、良くも悪くも、ショップでもメーカーでも、カリスマ社長が自分の感性と勢いでブランドカラーを打ち出すことが多い。けれど水島さんは、ある時期からショップの方針やコンセプトをちゃんと言葉にしてきたし、それを山崎さんやスタッフさんと相談して決めていたようなのです。

 

 

自分が苦労して生み出した会社であるからこそ、独りよがりにならず、長く愛される会社に育てるために、会社のコンセプトという普遍性をもたせていたからだと思うのです。そして、運命的な出会いをした山崎さんの感性も、偶然、水島さんに非常に近かったのではないかと思うのです。

 

 

だから、今のバランスオートは、 ”バランスオートしている”  のです。

ブログを読んでいると、嬉しい記事がありました。

常連さんが水島さんの愛車のエクリプスを引き継ぎ、作りこんでいるそうです。

https://ameblo.jp/balance-ap/entry-12318975707.html

 

 

水島さんと意気投合したのもこのクルマ。私自身昔のっていました。この業界ではFFでマイナーなこのクルマは肩身狭いクルマだったのですが、水島さんは「ボクも大好きなんですよ~。手放してもまたすぐに買ってしまうんです」と話してくれたときはとても嬉しかった。

お店からクルマで立ち去るとき、心の中で水島さんに話かけました。

「イイ感じっすね!」